レース後は「逆テーパリング」を心掛けましょう

長時間にわたるハードな運動後の身体の痛みは、時としてそのトレーニングそのものよりも辛いと感じるほどです。

 

トライアスロンや長距離レース、フルマラソンなどに参加すると、身体は損傷の原因となるストレスにさらされ、回復には時間がかかります。

身体の部位によって回復に要する時間は異なりますが、通常、急性の疲労なら1~2日で消え、免疫システムは最長で7日前後も低下。 筋肉の疲労は数週間続くこともあります。

 

さらに、長時間にわたる持久系スポーツが「心臓障害を引き起こす可能性がある」という懸念が高まっています。
運動している間、数時間にわたって非常に高い心拍数が続くためです。


いくつかの研究では、マラソン後のランナーに信金の損傷を示す酵素が測定されるなど「心外傷」が生じることを示す証拠が見つかりました。

 

カナダのマニトバ大学ではMRIを使用して、マラソン大会の参加者の心臓を詳細に分析しました。

その結果、マラソンの直後では損傷が見られたものの、新機能は一週間以内に通常状態に戻っていたことが分かりました。

 

つまり、マラソン中は心筋に負担がかかるものの、その後は脚の筋肉と同じように回復するということです。

脚の痛み(筋肉痛)は、階段の下りやちょっとした動きでも感じるため、心筋のダメージより知覚しやすいと言えます。

このような遅発性の筋肉痛は、レース後1~2日でピークを迎え、長ければ1週間ほど続く場合もあります。

 

理想はレース後4~5日はいきなりランニングを再開するのではなく、ウォーキングやサイクリング・水泳など、筋負担の少ないことをはじめます。

その後は時間の経過とともに運動強度を上げていき、レース後2週間を目安に通常のトレーニング量に戻します。(逆テーパリング)

 

重要なのは身体の状態に合わせた柔軟な対応で、筋肉が疲れていたり心拍が上がらないのなら、無理をしないという勇気が必要です。

その方が回復速度が上がり、しっかり強度を上げたトレーニングを早めに行うことができるようになります。

 

疲れを感じている際に無理に強度を上げると、効率の悪いトレーニングになり、再び余計な疲れをためてしまい、負のスパイラルに陥ります。

自転車競技なら、限界を感じたレース後は完全休養と、筋肉負担が少ないサイクリング強度を合計5日ほど行い、徐々に身体と相談しながら強度を上げていくようにしましょう。


参考文献 : 草思社「良いトレーニング、無駄なトレーニング」アレックス・ハッチンソン著, 児島修訳

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